海の色まで曇る日

どんよりとした重たい雲に包まれて、窓の外はすべての色が薄められた水彩画のような景色。海の色も鉛のようなグレーだ。風も強く電線がビュービューと音を鳴らす。時折、電柱の上で火花がジッジツと散る音もする。朝は明るくなった頃に目が覚めるが大体が夢を見ていて、起きてすぐはその中身についていろいろと考える。夢だからちょっとありえないことが多いけれど、それでも夢をきっかけにいろんなことを思い出す。頭の中で何十年分かの時を一気に行ったり来たりするような感じだ。もし、僕も平均寿命まで生きられるならまだまだ半分を過ぎたとこなのに、もうおじいさんになってしまったような(昨日の夢は僕より若い父が出てきた)そんな人生を振り返るような思いばかりが湧いてくる。もしかして見た目が急に老けるのはこんなときなのかもしれない。年をとっても無理に若作りするつもりは無いので少しずつ自然に枯れていけばいいとずっと思っていたが、こんなことを書いていること自体弱気だ。それぐらい暦の上ではもうすっかり春のはずなのに心は今日の景色と同じでまだ冬のまんまだ。

近所の公園

昨日の嵐みたいな雨が嘘のような雲ひとつない青空。
近所なのにあまり行った事がなかった奄美パークへ行った。
ずっと勘違いしていたが、ここは毎回お金を払って入るのでなく、有料のゾーンは一部だけであとは時間内であれば自由に出入りできるのだった。一度みたらもういいやって思ってたのが間違いで、そのタダで上れる展望台からの素晴らしい景色を眺めながら、ここが昔の空港の跡地で自分の住む笠利町節田と同じ住所で、この高さに人が立つなんて昔の人(祖先)には想像付かなかっただろうと考えたりした。
奄美は本当に大きな島だけど、こんなに広い平地があるのは笠利ぐらいだろう。公共の施設としてもっといろんなことができそうなのにとも思ったが、誰もいない場所でのんびり昼寝できる個人的な贅沢も捨てがたい。
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今朝の新聞で島尾ミホさんが亡くなったことを知る。
「死の棘」は長い時間をかけて読んだからミホさんがこの島で
僕らと同じ空気を吸い生きていらっしゃることでまだその物語は続いているような気がしていた。新聞にも書いてあったように天国で再会してるのだろうか。ご冥福をお祈りします。

いつもお世話になってます

やまない雨はない。けさは雲は多いものの久しぶりにお日様が顔をだした。ゆうべ土砂降りの雨の中、最後の仕上げに夢紅に行った。なんだかにぎやかな様子。今日は娘さんの紬ちゃんがお友達と一緒に卒業記念のマラソンをしてそれからそのまま打ち上げというか、お別れ会のようなことをやるのよって聞いていたのだった。ちょっとおじゃまなタイミングできてしまったかなと思った。荷物を降ろさないといけないので雨が小降りになるまで車の中でちょっと待つことにした。フロントガラス越しの雨の先にオレンジ色の灯りの窓が浮かんで見えてその中で紅さんが嬉しそうに料理を作っていた。隣に車が止まって降りてきた夢元さんに「何やってんの?」って不思議がられた。バツが悪そうにくっついて中に入った僕らを紅さんはその場のみなさんに紹介してくれて、美味しい料理までごちそうしてくれた。あたたかな空気に少し触れさせてもらった感じでとても嬉しかった。
写真展、今日からです。
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風邪も気合で!

なんとなく停滞気味。
天気もずっと良くなく(天気のせいにしてはいけないが気がつくと日記も十日以上もさぼってしまっている。 反省。)風邪をひいてしまったせいで咳がでるとちょっと辛い。
お客様にうつすといけないので早めに治さなくっちゃと思いつつ、それでも病院に行くほどでもないようななんだか中途半端な具合だ。関節が痛くなったらやばいですよとこないだお客さんに言われたときはまさかインフルエンザではないだろうと思っていたから、今ちょっとひざや背中が痛くなってきたのは怖い。これもさっき重い荷物をもったからそのせいだと思い込むことにしている。
明後日から31日まで夢紅での写真展があるため明日は朝からその準備。
去年の夏に夢紅の庭で開催したナラニ・カナカオレ、シグゼーンファミリーの「カイハライ」ツアーの様子をカメラマンの矢幡英文氏が撮影したもので、僕は先月の出張の際に鎌倉の由比ヶ浜で一足先に見させてもらったが、僕の記憶の中に大切にしまいこんだ夢の断片がちゃんとそこに目に見える形として存在していてなんだかそれはすべてが浄化された神秘的な世界のような感じがした。また開催された同じ地で見るのはどんな感じなのか僕自身楽しみ。ぜひ一度見にいらして下さい。

月曜からまた冬に戻ったような寒い日が続いている。
昨日は確定申告のために名瀬まで行く。
毎年のことだが税務署と市役所から届く封筒を見た瞬間から宿題をもらった子供のような気持ちになる。なるべく見えないようにクローゼットの奥において置くのだが、テレビのCMやPCでも確定申告の言葉をみるたびに億劫になる。
最初のうちはなるべく早く済ませてすっきりしていたが、ここ2,3年は大体今くらいまでじたばたしている。一日がかりで資料をまとめて最後の記入は税務署で確認しながらやっていく。
終わってしまえば簡単なものだが、やっぱり煩わしい。
でも職員の方はもっと大変そうだった。会場にはお年寄りも多くわからないことをひとつひとつきちんと丁寧に教えていた。
僕を担当したおじさん(失礼)も「ネットで提出できるのも知っているがやっぱり不安だからここに持ってきた。でも来年はネットでやれるかな」と言うと「ま、年に一度のことだから是非また寄ってください」と笑って言ってくれた。
家に帰ってから少し雲の隙間から晴れ間が出ていたので海まで散歩した。
こないだと同じ場所に虹が出てた。
また暖かな春がもうすぐやってくる。
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花粉症

都会で暮らしてた頃はずっと花粉症に悩まされていた。
今の時期は毎日薬を飲んでいて、そのせいでいつも喉が渇き、頭は眠けでぼーっとしていた。奄美に来てからはピタッと治まりすっかり忘れていた(それでも、この時期、出張に行くとすぐにくしゃみの連発で鼻声になる)が、おとといから昨日にかけて風が強く、その影響で遠くから花粉が飛んできたのか、目が痒くくしゃみと鼻水にやられた。今朝も少し目が腫れ、頭痛もする。
これはもしかしたら昨日作った棚に塗ったペンキのせいかもしれないとも思ったが、花粉だとしたらやはりちょっとショックだ。
花粉症のないことが島の売りなのに。

紺碧

昨日の奄美は快晴で思わず「アオいなぁー!!」ってCMみたいに
叫びたくなるくらい海の色が綺麗な深いブルーだった。
思い切って自転車で夢紅まで行くことにした。
坂を上りきることができるかどうかちょっと不安だったがなんとか途中で降りずに頂上までいけた。
そこからの土浜、その先の立神(岩)、もっと先の喜界島まで見渡す風景はいつみても感動的。
車だと一瞬だが今回はゆっくりと味わえた。
途中で干からびたハブの死骸まで見つけた。
自転車で出かけたくなったのは天気のせいだけじゃなくて前の晩にお客様からいただいた山羊汁と生肉(生まれて初めていただいた)のおかげかもしれない。
飲むと体がカーッと熱くなってエネルギーが沸いてきた。本当に美味しかったです。
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それから夕方には夕日に照らされた入道雲がちょうどスクリーンのようになり、空港あたりから喜界島のほうへ大きな虹が映し出された。これは肉眼で見るしかない。贅沢の極みです。

大切な時間

原宿で子供たちと待ち合わせをした。
美味しいものを食べたり、一緒に買い物を楽しんだりするつもりだったが、ただただ歩き回っただけで終わってしまった。
平日でお互い仕事や学校を終えたあとなので疲れもあったが、行き当たりばったりのデートのように、たびたび「どこに行くの?」って娘に聞かれて少々焦った。
原宿ならカフェも服屋もたくさんあるし、どこを回っても楽しいと思ったのだが、なんだか街の中で一人だけ浮いている感じで楽しめなかった。子供らが食べたいと思うもの、買いたいと思うもの、僕が食べさせたいと思うもの買ってあげたいと思うものが一致しない。僕の思惑は外れっぱなしで会えない時間を埋めるにはちょっとむずかしい場所の選択だった。
「やっぱり吉祥寺にすればよかったね」二人がいった。
いつもは家からバスで来れるから吉祥寺で会うことが多い。
吉祥寺はいつ行っても大きな変化のない街で適当ににぎやかで、それでいておだやかな田舎の空気も一緒に混ざりあっていて、僕らの歩調や気持ちを合わせるのにちょうどいいのかもしれない。子供たちもそれに気がついたみたいだ。
歩き疲れたが、都会の真ん中でふと、もうすぐ僕の背を追い越してしまいそうな息子や髪の毛が伸びて少し小さな子供の頃にもどったような気がした娘の後ろ姿をみながら僕は今の瞬間こうして一緒にいられるだけで本当に幸せで神様に感謝したんだ。

戻ってきました

朝早く羽田空港に向かう電車はいつものように満員だったが、屋根の上に落ちる雨音が耳に新鮮に聞こえた。
電車に乗っていて雨の音に気づくなんて事は覚えが無いから、田舎暮らしのおかげでそんな自然の音に敏感になったのかもしれない。
前に一度、軽くおなかが痛くなり我慢できずに途中下車してトイレに駆け込んだ経験があるので朝ご飯は飛行機のなかで食べる事にしている。雲の上は快晴で作り物の地球儀のようなはっきりした輪郭の太平洋沿岸が見えた。機内サービスのコーヒーをおかわりしておにぎりやパン、デザートにプリンまで食べた。ちょっとした遠足気分だ。
出張はマイルを使ったおともでマイルやバースデー割引、
バーゲンフェアなど安い料金をうまく使って行くようにしているが、この春から航空会社の料金の形態が変わり、バースデー割引は無くなる。
奄美の場合、代わりの先得割り引きではあまり安くはならないので年間の予算を考えると今までのように頻繁には出張に行けなくなるかもしれない。いや、僕らだけの問題でなくこれでますます奄美への観光の足も遠のいてしまう。
航空運賃についてはもっと本気で考えないといけない。
気軽に一人旅や夫婦、家族、友達とのグループ旅行、そして
島出身者の帰省などいつでも安い運賃の設定で島の出入りがもっと頻繁にできるようにしないと本当に閉ざされた島になってしまう。
僕も島で会いたい人はまだまだたくさんいるのに。

密かな楽しみ

出張のため、明日から三日間お休みします。
本日は午後5時半までの営業で、金曜は午後1時からOPENいたします。
いつもは忙しく映画を観る暇などないが今回はなんとかいけそうだ。どれがいいか劇場のHPで調べていたら観たいのがあった。
懐古趣味の僕はタイムスリップものに弱い。
『バックトゥザフューチャー』も大好きだし、以前同じホイチョイプロが作った『波の数だけ抱きしめて』もバイブルだ。
前回は1980年代頭が舞台だったが、今回は90年代初期のバブル全盛時代。リストを見ると音楽がいまいちつまらないがきっとまばたきできないぐらい画面に釘付けになるに違いない。