豚肉、食べちゃいけない国もあるしなぁ

映画にしたら面白そうなんて軽く言ってはいけなかった。映画にするのは大変だ。きっとあのシーンはカットされて、いきなり美味しそうな料理(変わり果てた姿)で、でてくるにちがいない。それじゃぁ意味が無い。
その問題のシーンを読んだときは、あまりにも残酷で、そりゃ人間の勝手だと、りんごちゃんも急にかわいくなくなってしまったのだが、最後まで読みきったら全て納得できた。僕もそれならいっそベジタリアンになるぞと思ったところまでいき、ひっくり返された。読み終わってすぐに豚の冷しゃぶサラダ作って食べました。もし肉を食べる気がしなくなったら僕の場合、ヨーグルトやチーズばかり食べ続けると思います。
最近、オンの毛がものすごく抜ける。どんどん抜けて豚になったりして。そしたら自分にできるかなぁ。自分の命があとわずかならもしかしたらそうしたいと思うかもしれないが、絶対に自分ではできない。魚もさばけないくせにと突っ込まれそうだが、そういうことではなく、どうやったって自分の家族のように付き合っている動物を自らの手でつぶすなんて絶対無理!
(つぶすって島の方言じゃなかったんですね)

空のうえで

飛行機に乗る前に空港内の本屋さんに行ったら以前、ラスティックハウスさんのHPで紹介していた本があったので、迷わず買う。
飛行機に一人で乗るのも久しぶりで、疲れてたので寝ちゃうかもと思ったが新聞読んで、しっかりスープとコーヒーを一緒に頼み、まい泉のかつサンドとおにぎりを食べた。そして「食堂かたつむり」を読む。集中して読んでいても、いつも同時にいろんなことを考えてしまうくせがあり、想像を膨らませすぎてとんでもないところへ行ってしまったりするのだが、今回は読みながら映画を観ているような気分になり、でてくる風景や登場人物がすごく魅力的で次々とこの役は誰っぽいとか、勝手にイメージする。「渚のバルコニー」がでてきたときは僕が今書いている話とかぶったー!と思ったが僕のは世にでるわけではないので何の心配もいらない。でも、なんとなく近い感じもありちょっと嬉しい。ショックで声がでなくなって筆談にするというアイデアがすごくいいと思った。まだ途中なのでそこまで。でもおばあちゃん、熊さん、おかん、エルメス、インド人の彼、あとシニョリータも本当にそれだけで面白い映画になる。飛行機に乗る前にいつも、もしものことを考える。あれが最後になるのかと考え、ちゃんと話しておいてよかったなとまた全然違うことを考えていたら、いきなりエアポケットに入ったのか、本がふわっと膝から宙に浮いた。怖いと思った瞬間におなかがぎゅうわっと熱くなって体脂肪が燃える準備をしたような感じがした。火事場のクソ力ってもしかしたらこうやってエネルギーを爆発させるのかもしれないと思った。出張のときは普段の3倍食べるくせに、全然ウンチはでないのでおなかがぽっこり膨らんでおり、まさにクソ力・・・。
ミャンマーのサイクロンの記事でおもいだしたのが、僕が造園のバイトをしていたときに知り合ったミンタンたちのことだ。
ミャンマーから出稼ぎにきていた彼らは日本で稼いだお金で両親や家族のために家を建てるんだと言っていた。僕ら日本人はアルバイトでも日当1万くらいは稼げていたが、彼らは物価が違うからと、同じ場所で同じ仕事していても少し安く雇われていた。少し先輩格の日本人の学生に親方からもらった毎日のお茶代(缶コーヒー)までもごまかされていた。日本語がわからないから「お前、ゴム人形みたいな顔だな」とからかわれてたときも僕はつい、つられて笑ってしまったが、意味がわからず愛想笑いをする姿をみて、悪いと思った。ある日、僕が運転するトラックの後ろに彼らを乗せて高速を走っていたら土砂降りの雨が上がったあとに目の前に大きく綺麗な虹がかかった。振り返ると彼らも興奮した顔でいて、目が合うとなんどもうなずきながら笑った。そのとき言葉なんて通じなくてもちゃんと友達だと思えた。車を事務所に返してまた電車に乗るのだが、汚く汗臭い作業着のまま、渋谷のホームで一緒に缶ビールで乾杯した。みんな元気で生きているか?「オニイサン、スキナヒトイルカ?スキナオンナダクノガイチバンシアワセネ ダカラアソバナイヨ」と言ったのは僕じゃなくてミンタン。
飛行機が無事到着した。名前は知らないが真っ白な渡り鳥がいっぱいいて、こいつらは落ちる心配なんて全くしないで自由に飛び回っているんだろうなと思った。

欲しいものはいっぱいあるけれど

飛行機がでるのが7時で、ここを出るのが6時半くらいだからちょっと慌てて書いている。明日は定休日でお休みで、あさってはお昼過ぎ1時くらいにOPENします。
せっかく多くの人に見てもらえるチャンスなのに更新できないでいたのは、Tシャツの入荷を待っていたからで、綺麗な写真と一緒に、たまには洋服やさんらしいところをお見せしなくてはと思っていたのに結局間に合わなくて残念。お待ちいただいてるお客様、申し訳ございません。もう少しお待ちください。
頭でずっと考えていることを誰かに話したくても聞いてくれる人がいなければ意味が無い。今日は思いがけず、ちょっとだけそれができた。ちゃんと出張の前にそんな時間が用意されていたのだ。話すことも聞くことも何かを動かし、前に進むためのエネルギーになる。
やっぱり、プラスマイナスゼロが正しいと思った。
ただ何もしないのは当然マイナスで、たくさん動いても目指すのはゼロでいい。余分に稼ぐ必要はないのだ。
利潤を得ることだけを目標にしてる企業には絶対にわからないことだと思うが。と、一生お金持ちになれない言い訳を考えた。

白と黒

入梅しても昨日今日といい天気。ただ風がなく蒸し暑い。
ようやく出張の手配ができ一安心。犬も連れて行こうかとか、猫はどうするとか、車を持ってこれるかとか、また肝心な展示会の日程も決まらずに落ち着かなかったが、なんとかクリアできた。休みも一日だけずれるが定休日でこなせる。夜、直行便で飛び、翌日が仕事で次の日の朝8時15分の飛行機で帰ってくる。それだけで交通費は普通ならハワイだって行ける。まぁ今回はマイルを使って最低料金で行けるからいいのだが。
何も無いのが魅力だなどと甘えてはいけないのだ。観光でわざわざ奄美に来られる方はそんな高い料金を支払ってやってくるのだから。JAL便だけだからそんな料金設定なのか、もっと島への出入りがしやすいように福岡などの直行便も復活させるべきだ。島の自立って行政は本気で観光事業が成り立つように動いているのだろうか?
経費削減のために展示会をおろそかにはできない。僕らにとって店が成り立つための大切な元になる仕事だからだ。期待して服を見に来てくれるお客様のためにもちゃんといいものを見つけてきます。
夜中に犬に起こされ、ビデオに録っておいた教育TVの特集「サイボーグ009」を見た。子供の頃に読んだが内容はすっかり忘れていてもう一度読みたくなった。石ノ森章太郎のライフワークのような作品で大人になった今のほうが理解できるかもしれない。途中で書けなくなってしまったのは、それほど深く入り込み、もうそれ以上表現できなくなってしまったからだろうか。子供の頃、考えてしまうとどんどん深みにはまって戻れなくなり、怖くて不安になることはしょっちゅうあった。それを知らん振りして、見ない振りして、生きているのがずるい大人になった証拠だ。

天然生活

発売日を過ぎても本が届かず、定期購読してるのになぁと不思議に思いながらまんまるパンと夢紅に顔をだす。夕方だったけれどまだ少しだけ残っていてちゃんと美味しいパンを買うことができた。そのまま海辺でぱくつく。まんまるさんの周囲は本当にのどかでやさしい空気に包まれている。しかし、どこに行くのにもオンがはしゃぎすぎて大変で倍疲れてしまう。で、出かけるのがおっくうになってしまうのだ。それでも昨日は夢紅の前に広がる海や庭の緑、大きなガジュマル、それから家の中からこちらを見つめるシェルやすばるのかわいさにも癒され、久々に自宅以外でのんびりすることができた。6年ぶりに食べたカルボナーラも本当に美味しかったし、いちごのシャーベットもグレープフルーツジュースもお手製のバニラアイスもみんな美味い。日常にあるプチ贅沢はやっぱり大事なのだ。そしてまんまるにも夢紅にも本は届いていて、なんでうちだけ??と思いながら見せてもらった。
以前から僕は自分の視点で紹介するおすすめマップを作らなくてはと思っていて、そのためにも定休日を曜日で固定しないように変更することにしたのだけれど、こうして雑誌で紹介してもらえるのは有難く本当に感謝しています。でもやっぱり自分も作らなくてはと、ようやく自らのケツを叩く。
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太陽と月

雨があがり、午前中はまだ雲が多く霞がかった景色だったが風がそれを強く吹き飛ばしてくれてどんどんクリアになった。空気が澄み透明になると、太陽の光は白い壁に反射して拡散し、一気に島を夏の風景に変えた。店にPCを置くのをやめて、開いたスペースにターンテーブルとミキサーを置いた。押入れにしまったままになっていて、少しほこりをかぶっていたので丁寧に磨いてからボーズにつないだ。聴きたかったレコードを引っ張り出して次々とかけてみる。ノイズも全然気にならず、音が出た瞬間に鳥肌がたつような高揚感を覚える。CDやipodの音なんて比べ物にならない。やっと、(ボーズを)買ってよかったと思えた。レコードを回しっ放しにして店の上のテラスにでたらおなかの大きいクロクロを守るように腕枕をしてクロッケが寝ていて、ちょっと感動していたら駐車場に車がすっと入ってきて、ちょうど会いたかった人にタイミングよく会えてびっくり。
一緒にお茶を飲み、店でレコードも聴いてもらった。一緒に聴いたのは「who needs you」であとから「follow me」にすれば良かったなと思った。夜は満月で、顔を出してから沈むまでずっとオレンジ色のままで、海は月明かりでそこだけぼうっと浮かび上がり、遠くの波の音まで聞こえてくるようだった。ここで暮らすことの喜びを感じる瞬間。
今日はお休みです。
5月は水曜定休のままで来週も28日がお休みになります。

恋するairy

いつか、書いてみたいと思うことがあってやっと書き始めた。
書きながら自分にとって大切なものはいったい何なのか少しずつ見えてくる気がする。
最近、朝目覚める時の気分はどうですか?
子供の頃、学校へ行く日はなかなか起きれないのに日曜はシャキーンと目が覚めた。それは起きて脳がスイッチを入れた瞬間に、今日は学校行かなくていいんだぞ!父ちゃんも休みでそばで寝ているぞ!いやっほう!と体全体に喜びを伝えているみたいだった。
別に学校が嫌いなわけじゃなかったし、行きたくないと思うことは滅多になかった。だけど家族と一緒にのんびりできる日曜が一番の幸せだとわかっていたのだ。一日はうそみたいに長く、午前中も、お昼も、夜もずーっとずーっと楽しかった。大人になった今みたいにあっという間に終わったりしない。
そんな日曜を僕はすっかり忘れてしまい、遠くに置き去りにしたままでいる。
今、日曜がお休みでないのは仕方ない。でもそのかわりにお客様がお休みで、ふらっとリラックスした穏やかな顔で遊びに来てくれるのが嬉しい。ご家族でもカップルでも友達同士でもお一人でも。
洋服の話だけでなく、趣味の話やご家族の話などおしゃべりしてくれる時間はぼくらにとっても幸せな時間。
みんな大好きなものをたくさん抱えていて、それが日曜だけでなく平日もいつでもそばに、心の中に感じるから幸せなのだと思う。
ずっと恋をしているときみたいに。

Miles Away

台風の影響で波が高い。荒れまくっているのだけれどターコイズブルーの上に真っ白な泡が乗っかって押し寄せてくる感じがどこか外国の景色のようで、映画やビデオを観ているような気分になり、しばらく口を開けたまま眺めていた。スタンドのお兄さんに波乗りできるんじゃないですかと言われ、ボードを抱えて駆け出しそうになる・・というのは嘘で、波にもまれてぐるぐる水の中を転がされているのを想像してしまい、本当に鼻の奥がゴンと痛くなった。
夜は楽しみにしていたドラマの途中で寝てしまい、朝、ビデオを巻き戻して見た。作り物の話がどこまで本当の世界に影響を与えるのか、僕はものすごく単純な人間なので、夢物語でなく、こんなことが本当に起きたらいい、少しでも世の中が良くなるように今を変えようと思う人が増えたらいいと本気でTVが起こすプラスの影響力を見てみたいと思った。

ロングバケーション

「音楽がある星に産まれて良かったー!!」なんて織田裕二ばりに叫びたくなるくらいに好きなくせにCDをほとんど買わなくなってしまった。きっとレコードの時代のままだったら部屋の床が抜けるくらいたまってたと思うけれど。だからせっかく例のボーズが届いてもあまり活躍しない。音は十分満足しているが興奮して鳥肌がたつほどの中身を持っていないのだ。すぐに飽きてしまうからとCDを買わずに聴きたい曲だけダウンロードするか、古いものや邦楽ならばレンタルで済ませてしまう。夕方ふと鼻歌のように口ずさみ、何で今この曲?と思いながらネットで調べてツタヤで借りてきたのが大瀧詠一のロングバケーション。高校の頃にでたアルバムでそのときは甘すぎて実はあまり好きではなかった。ただ、ほかの流行の音楽とはあきらかに違うなとは感じていたが、聴きこむほどではなかった。文化祭の予選(見事に落ちました)で二郎が歌った「恋するカレン」も思い出深いけれど、僕が一番好きなのは「さらばシベリア鉄道」。なんて優しい声なんだろうと思う。そしてあの声の裏返しかたはきっと誰も真似できないな。
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僕とオンの修行の日々

もう子供の頃のように感情を爆発させて泣くことなんてできない。
昨日はまだ早いが母の日のプレゼントにと相棒が家で料理を作り一緒に食べようと実家に持って行った。オンは基本的に車に乗るのが好きでいつもは比較的おとなしくしているのだが、昨日は暑かったせいもあってか窓から顔を飛び出させたり、車を止めるとすぐに外に出たくて運転席の僕の膝に乗っかかってきたりとなんだか騒がしい。実家でも落ち着かず暴れるので何度もトイレか?と外に連れ出すがしない。くんくんと匂いを嗅いでひっぱりまわされるだけだ。まだ子供だから仕方ないとか、ちゃんとしつけないからだとかいろいろと言われていることが頭をめぐる。母親にも「なんだか痩せて疲れているように見えるけど病気なんじゃない?」と心配され、今時メタボで痩せなきゃという人が多い中で、何でそんなことを言われるのかさっぱりわからず、相棒からもパソコンのやりすぎで電磁波にやられてるとか言われ、不健康な生活送ってるのオレ?と自問する。犬に癒されて静かにのんびり暮らしてるつもりが実はどんどん溜まったストレスが顔や体にでてきているのか。痩せるのは健康な証拠だと思っているのに。プラスの感情もマイナスの感情もエネルギーとして発散させるのが大人になったらへたくそになってしまうのだろうか。
僕は飛び掛ってくるオンを本気でねじ伏せ拳で殴りそうになったり首を羽交い絞めにして力を入れてしまいそうになる。
しかし、なんとか踏ん張ってそれをやらず、そのかわりに言ったってどうせわからないだろうと言葉の刃を突きつけた。
「オン、もうオレについてくるな。オレはもうお前なんか嫌いだからな。食い意地ばかり張って何かもらえるからついてくるんだろ?もう周作のところに帰れ」
オンは下から僕をじっと見つめている。言われてもオンは僕がトイレに行くときも寝室に行くときも必ずソファから飛び降りて僕についてくる。
今日は店にいなくてもいいように相棒が一緒に家にいて寝かせてくれている。僕が昼を食べに戻ると寄ってきたが邪魔をしないように床でまた寝始めた。いることを忘れるくらい静かだったが、しゃっくりをするようにヒクヒクとなく声が聞こえてきて、見ると寝ながら泣いている。夢をみているのかと近づいてみたら床が濡れていて、涙を流しているみたいだった。でもきっとよだれだ。