散歩の帰り道、犬は歩幅を合わせるようにゆっくり横を歩いている。
行きは尻尾を高く振って(早く早く行こっ!)ってぐいぐい引っ張って進むのに。海で目一杯走り回ったくせに、なかなか帰りたがらないので、「もう先にいくよ!」って手を振ると思いっきりあわてて戻ってくる。車の通る道路は危ないから手前でちゃんとリードをつける。それで手をつないでるような安心感がある。僕らはまだ昇ったばかりの太陽に向かってゆっくり坂を上る。イヤホンで音楽を聴きながらぼーっと考え事をしていたら、一瞬、犬と一緒にいることを忘れた。でも、ちゃんと手をつないでいるから大丈夫。隣を見たら、犬も何?ってこちらを見た。すぐ目をそらしたけれど、ちょっとほほ笑んだ気がした。相変わらずの眩しい風景だけれど、風がさらりとして気持ち良くなった。本当にそれだけで嬉しくなる。映画マンマミーアと同じ、キラキラの世界。古いMDを引っ張りだしてパソコンに取り込んだ。明日はABBAが散歩のBGM。