本の中の島

瀬戸内在住の作家、森永洋一さんの「あの夏にすべてを賭けて」を読む。結局三日間くらいかかった。地元の人が地元を舞台に描いた小説ということで興味があった。本当に背景の描写が細かく、ずっとその世界に入り込む。知ってる場所ばかりがでてくるのでリアル感も増し、お話自体は壮絶で短期間で起きる出来事としては現実離れしているのだが、登場人物が本当に身近に感じ、それぞれの心情が深くこちらに伝わってくる。作者が同じ島にすんでいらっしゃるというのもその理由のひとつだと思う。ろうそくの炎のように次々と命が消えていくのでなんとも切ない思いが残るが、せめて最後はどこかに希望を感じたかったなと思う。なんだか運命(それでも自分で選んでいる)に翻弄されてばかりの人間の弱さばかりが印象に残った。でも本当に映画のシーンのように頭のなかでリアルに世界を構築できた。実際に映像では表現しづらい小説ならではの背景や心理描写が素晴らしく、この平和な島の中で普段体験できないような場所に連れてってもらえました。森永さん、ありがとうございました。
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明日と明後日はお休みいたします。
僕も湘南方面へ出張です。