旅立ち

山の上の分厚い雲の中にようやく太陽が隠れたので植物に水をあげようと店の外にでると道路の向かい側にグレがいた。目が合うとちょっと口を三角にして威嚇しそうな顔をしたので何か変だなと思いながらも家に向かうとちょうど子猫たちが移動する最中で、僕に気づくとまたくっついてきて家のテラスに戻ってしまった。すぐにグレがすっ飛んできて「ジャマすんニャー!!せっかくそこまで引っ張ってきたのに台無しじゃないカー!(たぶん)」と怒られた。子猫たちはまだおっぱいも飲むけれど、もうキャットフードもボリボリ食べるようになっていて、昨日の晩なんてグレのためにとっておいた魚の頭を奪い合って食べていた。そのときはニャーなんてかわいい声ではなくてグルゥグルゥと低くうなるような声をだしながら食べていて少し怖いくらいだった。一緒に丸くなって寝ているときのかわいさと他を寄せ付けない野生の本能の強さのギャップに驚いた。いよいよお別れの日が近づいてきたみたいだ。