目がものすごくかゆい。
東京の二日間は天気も良く暖かかった。心配した花粉もさほど感じなかったのに、なぜか島に戻ってきたら目がかゆい。バニラエアの機内は奄美への「行き」のひとばかり。僕のような「帰り」利用は少なそうだった。友達グループやカップルがわくわく感たっぷりの明るい表情をしていた。そんななか僕だけが疲れた顔をしていたのが迎えに来ていた相棒やチビにも伝わる。電車を乗り継ぎ6時間超の旅だ。そりゃやっぱり疲れる。
初日の重い荷物の反省を活かして二日目は飯田橋の駅のロッカーに荷物を預けた。泊まった馬喰町もそうだったが、この界隈は全く知らない街、時間に追われぬよう一日のんびり過ごすことにした。20歳の頃に買い物に来た記憶がうっすらある神楽坂に行ってみる。googlemapを頼りに大きな道路を渡り坂を上る。目的地にたどり着くと目の前に地下鉄の改札があった。また余計な距離を歩いた。しかし今日はそれも良しとする。いろんな角を曲がり面白い風景、店に出会う。ガイドブックよりも自分の勘で見つけるほうが楽しい。と、いいつつお昼は神田川沿いの有名なレストランでピザやパスタをいただく。天気が良く最高のロケーション。これで桜が満開なら言うことない。満腹になったところで、先に見つけた銭湯にいく。温度計は40度だったが、しびれるくらい熱かった。常連らしきおじいちゃんたちに混ざっての一番風呂。フルーツ牛乳までのフルコース。奄美に戻ったらまた仕事に追われる日々が待っている。東京の真ん中でのんびりできてよかった。会った人たちが昔の僕を知っているから一緒に過去を振り返り懐かしむこともできたが、同時に今この瞬間、一緒にいることに喜びを感じる。やっぱり未来の世界に遊びに来てるような気分になる。銭湯で頭や身体を洗いながら、鏡にうつる自分のたるんだ腹に銭湯通いだった18の僕の嘆く声が聞こえる。