暖かく晴れた日の夕暮れ
夏の始まりに思い出すのは子供の頃の記憶
ランドセルを放り投げ、友達と汗まみれで遊んだ帰り道
当時暮らしていた家は長屋みたいに繋がった市営住宅だったから等間隔で並んだ玄関の横の小さなキッチンの窓からいろんな匂いが漂ってくる
なかでも一番強烈なのがカレーの匂いだった
僕は走った
どうかうちでありますように
「母ちゃん、今日カレー??」
母が笑顔で振り返る
「やったー!!」
本当に恥ずかしいくらい小さな思い出
でもそれが大人になった僕が今、必死で守ろうとしているもの
やっと気付いた一番大切なもの