いつかまた会える

どこか遠くで鈴の音が聞こえている。
それが電話の音だと気付き、ベッドから跳ね起きたときにはすでに遅かった。
着信の履歴をみて、何の知らせだったかすぐに分かった。
初めてお会いしたのは、お店をOPENして間もない頃、派手なおばちゃん(失礼)が二人組みで現れた。
その着ている服が独特の色彩感覚で、僕の先入観では島の人はすごくシャイで地味だから明るい色の服は着てくれない、もっと明るく楽しい色の服を着たらいいのにとずっと思っていたから、そんな人が島にいることがすごく嬉しかった。頭のてっぺんからつま先まで目いっぱいおしゃれを楽しんでいる。
すぐに仲良くなって、笠利に移転してからも島の端から端までドライブして来てくれた。
10年もの間、ずっとだ。
来るたび、いつも賑やかでお店でお買物がこんなに楽しいなら、僕はずっとずっと店を続けられる。
続けて行こうと思ったのだ。いくつになってもおしゃれを楽しむ素敵な人のために。
台風が過ぎ去り、日射しが眩しくなった午後、明るい道の角から今にも赤いラシーンがゆっくりとやってきそうな気がする。あの明るい子供みたいな笑顔にもう会えないなんて信じられない。
喜美代姉さん、僕らは頑張ります、いつでもその明るい笑顔に支えられている気がするから。
どうかゆっくり安らかに。今頃愛犬デニーロと会えてるかな。