2012 05 16

ごろごろとどこまで転がっても布団の海が続く
その一番端っこに横たわる大きな島が父ちゃんだ
日曜の朝はいつまで寝てても誰にも怒られないのに
学校が休みの日に限って誰よりも早く目が覚める
カーテンの隙間から覗くいつもは恨めしい朝の光も笑いながら踊ってるように見える
大きなダンプの助手席から広がる観たことのない景色
深い緑の山や真っ青な海、キラキラ光る眩しい世界を眺めながらいつの間にかうとうとする
大きくカーブして体が前に傾いたところですっと大きな手が支える
片手で運転しながら、もう片方の手はずっと僕の前に伸ばしてくれていた
夏の昼はテレビで高校野球、ちょっと涼しくなった夕方にキャッチボールをして、
夜はナイタ―を一緒に観た
父ちゃんの腕枕はいつもちょっとすっぱい匂いがした
そのすっぱい匂いを嗅ぎながら僕はいつも安心して島の子供でいられた
そうだ その時の父ちゃんになりたいと僕はずっと思ってたんだ