起きてすぐに犬を連れて海へ。砂浜の様子は毎日違うし、漂流物もいろいろだ。ブイなど適当なものを見つけて放ると犬は全力で取りにいく。右へ投げると見せかけて左に投げたりで疲れるまで走らせる。太陽が雲の上に顔をだし、日差しがきつく感じるようになる頃に家に戻る。海の中までザブザブ入っていくので、毎日シャワーで潮を流してやる。もう太陽は完全に夏の盛りの勢いになっていて、蛇口の先の雫までキラリと光る。TVやパソコンのスイッチを入れなければ、たとえ世界中でどんな悲惨な事件が起こっていてもわからない。ここだけはいつも平和だ。毎日が夏休みのようなのんびりとした空気が漂う。与湾に漂流した鋼鉄の謎の物体だってあまり大騒ぎされていない。あれはもしかしたら核に相当するような爆弾かもしれない!とか毒ガスがつまっているのでは?なんていうのはあまり考えない。そんな緊迫したものは島の風景に全然似合わないからだ。中に見つかったのがパソコンじゃなくて、らしきものっていうのが気になったが、もし2045とか1855とか数字が表示されていたらきっとドクの作ったタイムマシーンだ。宇宙人みたいな格好したマーティがばしゃ山のトイレに隠れているに違いない。
地震やサイクロンや無差別殺人などTVで報道されるような事件じゃなくても悲しいことはいつもどこかで起きていて、それがもし自分の大切な人間に降りかかっていても全く気づかずにいるのも怖いと思っていたら、やっぱりと思うようなことがあった。それで自分のすべきことはなんだろうと必死に考える。自分を含めて回りにも乗り越えなくてはいけないことが次々と起こるがそれも全部意味のあること(ひとつにつながるようなこと)に感じる。