5時半に目が覚めた。猫の鳴き声で。(すみません、また猫の話です)初めてチビクロを見つけたのが去年の10月。夜、子猫の鳴き声が聞こえたので家の周りを探してみたらクーラーの室外機の下に小さな黒猫がいた。目だけが黄色く光っていた。親猫からはぐれたのか、ちょっとおびえている様子だった。後ろからそっと抱きかかえたが一瞬のうちに飛び降りてぴょんぴょんと飛び跳ねるように逃げていった。
その日は夜中ずっと鳴いていて窓からのぞくと塀の上で空に向かって親をよんでいるみたいだった。何日かしてこの猫が親かもしれないと思ったのがグレコで、ある日チビクロがグレコの後をくっついて歩いているのをみて、あぁやっぱりそうなんだと安心した。
それからグレコはしょっちゅうテラスに現れるようになったがチビクロは見かけない。もう大きくなって別行動なんだと思っている。
姿ももうチビではないだろうし、たまに遠くのほうに黒い猫をみつけるからあれがそうなんだと思う。
グレコは最初の頃はいつも縁の下に隠れていてなかなか出てこなかった。たまに顔を出してもカーッと口を三角にあけて威嚇するし、エサもお茶碗からサッとくわえてもっていき離れたところで食べていた。
それを繰り返すうち、いつの間にか慣れてエサを堂々ともらいにくるようになった。体に触れるのも絶対に無理そうだったのに今では平気で抱っこされる。いなくなった三日間、僕らが想像してたのはきっと子供を産んでたんだろうという事。少しすっきり細くなったし何よりもおっぱいがでろーんと伸びて目立っていた。でも、だとしたら子猫は何処にいるんだろうといつも気になっていた。ちゃんと面倒みてるのだろうか、もしかしたら産みっぱなしで知らんふりしてるのではと疑ったりした。
そして昨日の夜、7時でもまだ明るいが閉店時間なのでシャッターを下ろそうと店の裏に支柱をとりに行ったとき、海に続く道の真ん中にグレコがいた。そばに小さく黒いのが2匹チョロチョロしてる。おっぱいを飲んでるみたいだ。グレコはまっすぐこっちをみてる。
僕はあわててテラスにあがり、台所にいる相棒を呼んだ。
二人でテラスからじっと見つめた。そんなとこで車が来たらあぶないよって心配してたらグレコがゆっくりと草むらのなかに子猫をおうように移動した。ちゃんと母親してたんだと安心して、それから
昨夜も雨の中、体を濡らし夜遅くにご飯を貰いに来た姿を思い出し、なんだかいじらしくなった。
今朝もなんでこんなに早く来たんだろうと眠い目をこすりながらご飯をあげる。
「お前、ちゃんと母親してるんだねぇ」となでているとふと何かの音を気にするように耳を動かしていた。僕も遠くで猫の鳴き声を聞いた気がした。ゆっくりと家の裏のほうに歩いていくのでついていくとカーッと威嚇された。いったん知らんふりをしてひっこみ、後からそーっと裏をのぞくといた!黒い子猫が2匹、室外機の下から出てきた。グレコが引っ張りだしておっぱいをあげている。感動して僕はまた釘付けになった。
そしてさっきから僕は家の裏とテラスを行ったり来たり。グレコも同じように行ったり来たり。たった今も。雨が降っては大丈夫か?と声をかけに行く。そのたびにグレコはそれ以上は近寄らないでと目で威嚇するのだが、またしばらくするとにゃあとテラスへ顔を出す。
僕が子猫を連れて行かないように警戒しているのかも。